目次
はじめに
販売された年代、車格などからすると、イナズマ1200に与えられるべきフロントフォークの減衰機構は、GSF1200と同じカートリッジタイプであって欲しかったと思います。
GSF1200の後発モデルだったのですから、尚更のこと残念です。
それは、低価格な車両とするための企業努力だったのでしょうから仕方ないことではありますが、残念なところです。
乗り心地は、実用的なレベルにはなりますが、不満だらけです。
そんな不満を抱えたバイクだったので、私は自己流になりますが前後サスペンションを改造してきました。
改造履歴として、手始めにリヤサスをフルアジャスタブルなものに交換しました。
それは、減衰やプリロード、車高調整機能の付いた、ある車体の黄色いヤツになります。
すると、当然ながらフロントサスペンションへの不満が募ってきました。
ここから、長いフロントフォーク改造の道のりへと出発したのであります(笑)
好きでヤってるんですから、それはそれで楽しかったんです!
ですが、その変更作業がとても大変なんですよ、それが!
現代のドライバーやクリックなど片手で簡単に出来るような仕様ではありませんからね。
減衰力変更は、フロントフォークをハズシて開放させるような、大がかりな作業を伴います。
そんな作業後にようやく乗って、乗り心地を確認し、次の調整する方向性を考えます。
そんな調整作業を、個人レベルにて繰り返し行ってきましたから、随分時間がかかってしまいました。
センタースタンドを取付けた理由も、このフロントフォーク改造作業が少しでも楽になるようにしたかったからです。
話が脱線しましたね。本題に戻ります。
改造の詳細な仕様
これから記載します改造後の仕様は、あくまでも参考値になります。
これを参考にして頂きましても構いませんが、あくまでも自己責任の範囲において改造お願いします。当方はその責任を負いかねますので、ご了承下さい。
命に関わる重要な部品になります。くれぐれも安易な考え、無知なレベルで改造されませんようお願いします。
しかし、改造事態は大雑把です。
フロントフォークの圧縮側の減衰を生み出す装置が、ダンパーロッドとフォークスプリングの間に取り付けられています。
今回は、それを取り出し、圧縮側の減衰力を調整します。
とても原始的な方法での調整加工です。
一度加工すると元に戻せませんから、少しずつ加工してきたわけです。
前置きはこれくらいにして、作業の様子を写真で綴ります。
センタースタンドを掛けたら、単管パイプ小屋の梁から、荷締めベルトのラチェットを使いフロントを持ち上げる準備をしておきます。
ブレーキキャリパーを両側外します。
フロントアクスルシャフトを抜いて、タイヤ、フェンダー(さらにスタビライザー)を外します。
次はフォークを外します。
フォークを完全に抜く前に、フォークキャップを緩めておきます。
外したフォークのキャップを、後で手で楽に外せるようにするためです。
フォークキャップを外し、スプリングプリロード用のパイプ、ワッシャーを、取り外します。
すると、スプリングが出てきます。
スプリングを抜き出す前に、フォークオイルの点検です。
少しだけ汚れがありますが、調整の度に頻繁に交換していますので、今回は後で再使用することにします。
スプリングを抜きとりましたら、フォークを逆さまに傾けていくと、中から減衰バルブが出てきます。
随分前にデイトナから、カートリッジイミュレーターと言う名のゴールドバルブが販売されていたものになります。
フォークインナーチューブ43ミリ用のものです。
現在は、YSS社などからも同様のものが販売されていますね。
しかし、コレの何処に調整箇所があるの?
ヒント、一般的な答えであるバネではありません。
それは、上側から見ると分かります。
中心のバネの周りに穴が見えますか?
この穴の付いたプレートは、フォークが縮められる時、持ち上げられます。
その時に、減衰力が発生します。
なんだ、やっぱりバネの調整じゃないか~って、ハズレです。
バネ力だけに頼る減衰だと、特に低速時の動きが遅いフォークの動きに対し、中のフォークオイルが動けなくなり、ゴツゴツした感じになってしまいます。
この流路はフォークが中速から高速で動いた時に作動します。
感覚的な表現になります。停止から最高速までのフォークの動きを、数値で0から10とし表すと、ここの流路は2~10までを受持つイメージです。
ここは、しっかりした減衰になっていて、乗り心地に問題はありません。
フォークの動きとして、中高速時のセッティングはいい感じです。
問題は停止から低速時までの0~2までの間です。完全にオイル流路を、コイツが塞いでしまっています。
バネで作動するまでの一瞬ですが、0~2までを、コイツがオイルの流れを完全に抑え込んでしまってます。
いきなり2くらいの力の反発力がかかり、ハンドル側に戻ってくる感じになります。ですので、ゴツゴツ感が出ます。
これを解決する方法は、低速時でもオイルが動くようにすることです。
そう答えは、小さな穴を開けて調整すること(笑)
完全にイカれた、ヤバい調整方法ですね。
そのような結論に至る前、バネでオイル流路を抑えられていますので、一度バネのテンションをゼロにしたことがあります。
それでも感触として、シックリとこなかったため、更なる解決方法として小さな穴を大きくしていくこととしました。
この穴の大きさを少しずつ大きくし、更には数を増やしながら調整してきました。
今では3.2ミリの穴が3つと、2.5ミリの穴1つになります。
2.5ミリ穴は、単にドリル穴の中心が端に寄せ過ぎたが為、このようになったのです。
最初は、2ミリか3ミリの穴が一つだけでしたが、今では穴の断面積が約4倍となっています。
徐々に穴の断面積を大きくしてきました。
1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、そして今回と、何度もフォークを開放分解し、穴の加工し改造してきました。
感触としては、低速時はだんだんノーマルに近づいてきた感じがしています。
が、既にノーマルの感覚は忘れましたので、はっきりとは言えません。
だって、減衰させる原理が同じオリフィス穴の抵抗ですし、ノーマルはダンパーロッドの4ミリ穴一つだった訳ですから、理論的にも動き出し初期の感覚が近づいてきて当然です。
こんなセッティングは、カートリッジイミュレーターの取説に何も書いてありません。
完全に自己流ですが、間違った方向性ではないはずです。
最初からセッティングが分かっていれば、こんな手間はかかりませんでした。
少しずつ、何度も変更しますので、先の記事としたセンタースタンド取り付けは、フォークの変更作業を少しでも楽にするためです。
43ミリフォーク用のものになりますが、カートリッジイミュレーターの部品構成はこんな感じ。
気になる大きさですが、ダンパーロッドに接する箇所はここの寸法
ダンパーロッドの内側30mm
外側36mm
外径はこの寸法
YSS社の、PD VALVE などを装着する際に、寸法を参考にして下さい。
写真を貼り付け過ぎてしまい、重たくなったので、中途半端ですがここまでとします。
次回 その2以降では、フォークスプリング交換と、プリロード調整用カラーの長さ、そして重要なオイル粘度、油面調整とします。
サスセッティングのバイブルです。
困ったら、いつもコレ見て考えます。
愛用はデジタル版ですが、昔ながらの本タイプも、当然持っていますよ(笑)
ダンパーは更に後に改造することになりました。兄弟車種であるバンディット1200のダンパーロッドを移植し、性能が大幅にアップしました。