イナズマ1200整備日記

イナズマ1200のバイク整備と、整備と称するDIYレベルで出来るプチカスタムを行っていきます。そんな記録とキャンプツーリングに必要な小道具類などをDIYした記録、そして旅行の記録です。

フロントフォーク スラストベアリング追加(取付け後 乗り心地アップ)

目次

 

目的

 スプリングが伸び縮みする際に発生するフリクションが、フォークの動きを悪くしています。今回はフリクションを劇的に低減することを目的としたパーツを、取り付けることにしました。

 

フロントフォークの改造を一旦始めると、探求心をなかなか抑えられなくなってきます。ただし改造はDIYレベルで出来る範囲までとすることが方針なので、その限界はとても低めです。でもDIYレベルでも出来るそこそこ高めのレベルまで、持っていこうと思っています。今回もそんな欲が出てきました。

 

寸法計測

 それではまず、今回の取り付けパーツとなる場所の、基本的寸法を計測しておきます。

スプリングとカラーの間には、こんなワッシャーが入っています。
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このワッシャーの外径は37.3mmになります。
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厚みは、1.5mm。

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スプリングが縮む際に、このワッシャー面とスプリングが擦れます。

 

期待される効果

 このワッシャーの役目は、イニシャル調整用パイプ(カラー)とスプリングとの設置面となりますが、それだけではなくて、スプリングの伸び縮みの時に発生する捻れの変位を、このワッシャーとスプリングの間で滑らせ、力を逃がすことも担っています。

決して、プリロード用の調整板や、カラーパイプとのツナギだけではありません。

 

力を逃がすと言っても、スプリングとワッシャーとの平面同士では滑りが悪く、どうしてもここで摩擦力が発生し、フォークの動きを悪くする方向に働きます。

いわゆるフリクションロスが、発生しています。

 

そこで、高級(高性能)なフロントフォークには、フリクションロス低減対策として、ニードルローラーベアリングなど配置し、対策されています。

ここは素直に高級フロントフォークの真似をすることとし、ニードルローラーベアリングを追加することにしました。

 

用意したニードルローラーベアリング

購入したニードルローラー スラストベアリングは、こちらになります。

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ニードルローラーベアリング、もしくはインペリアルニードルローラーと検索すると出てきます。

 

購入した部品ですが、寸法通りに製作されているか疑い、気になります。

フロントフォーク内側と干渉しては困る外径寸法を確認します。

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私の欲しい外径サイズは、先のワッシャー寸法である37.3mmに対し、外径36.5mmのベアリングを購入しました。ちゃんと寸法通りです。

 

ベアリング外径に対して、ワッシャーとの差が、0.8mmの差なら誤差範囲のレベルでしょう。大きすぎて入らないよりマシですからね。

 

 因に先のワッシャーは、スラストベアリングの大きさに対して、ワッシャー幅の寸法が不足していますので、使用は不可です。
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 そこで、ワッシャーは、外径38mm、内径17mm、厚み2mmのステンレスワッシャーを注文。

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アマゾンからの購入が最も安価でした。

 

 

スラストベアリングだけネット購入し、ワッシャーをホームセンターなどで購入するのも悪くはありませんが、外径38mmや37mmのワッシャーは、一般的なホームセンターには在庫されていません。

大人しくベアリングとワッシャーのセットになったものを、ネット購入することをオススメします。

このパーツは、某オークションなどで販売されています。が、汎用品を専用品とし、高額販売されているだけです。

 

では、なぜ別々に購入したかといいますと、ワッシャーとセット販売されますスラストベアリングは、もっとも近いサイズが外径35mmでしたので、より欲しい寸法に近づけるため、このような購入としました。

 

※最近ではアマゾンなどで外径37mmのワッシャー付きのベアリングが販売されておまりした。ワッシャー付きを購入すると、ワッシャーを購入する手間も省けます。

 

 

また、同じ販売会社より楽天と、アマゾンで販売されますが、先に紹介しましたアマゾンの方が安価に販売されています。

なんと!2個入りで送料込み500円台とは、格安です!

ただし、ワッシャーは含まれません。

 

ワッシャーは5枚で400円台ですが、送料がかかりましたので、800円程度となりました。

それでも、合わせて1300円台になります。

 

ベアリングとワッシャーを別々に購入しても、結果としてトータル金額は、某オークションより5百~千円位安いかったです。

手間の割に、あまり差がありませんでしたね(^_^;)

  

このベアリング購入の難点は、海外(中国)からの輸入品のようでして、配達までに時間を要することです。それを見越して早めに注文しておくことです。

 

スプリングの上下に入れたほうが、もっとスプリングの動きが良くなり、サスペンション全体の動きは、更に良くなるのでしょう?

が、私はお試し程度での導入なので、今回は上側だけの設置としました。

 

 

取付

このベアリングの取り付けは、とても簡単です。

スプリングの上側のワッシャーを、このベアリングに取り替えるだけです。

ワッシャーは、外径側の角(バリ)を削り、磨き仕上げ、組み込みました。

  

フォークに組み込む前に、ワッシャーとベアリングのマッチング具合と、サイズ感を確認します。結果は良好です。

スラストベアリングの外径より、ワッシャーが気持ち大きくサイズとなっています。

これが逆ではいけません。

 

対比として、元のワッシャーは右側、組み込む部品が左側になります。


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ワッシャーでサンドイッチし、回してみますとスルスルと滑らかに回ります。

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組み合わせた厚みは6mm弱となります。

元のワッシャーが厚み1.5mmでしたので、4.5mm程度の厚みアップとなりました。

 

このままだと、スプリングへのイニシャルが、4.5mm分アップすることになります。

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組付作業は、簡単過ぎて、サクサクっと終了してしまいます。

一番大変な作業となるのは、フロントフォークを外すことです。

そのフォークを外すため、いつもはフロント側を吊り上げますが、今回は趣向を変えてリヤ側を下げることにします。

センタースタンドにて停めたら、タイダウンにてリヤ側を下へ引っ張ると、簡単にフロント側が浮き上がります。


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蚊が沢山飛んでいるなかでの、厳しい作業環境です。

早く終わらせたく、一心不乱に作業しました。

 

変更前
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変更後

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簡単に取り付け出来ます。

ついでにカラー長さも計測しておきました。50mmです。

 

イニシャル調整用のパイプは、ベアリングの厚みが増した分だけ切断し、さらにはエアバネとして作用する空気層がベアリング体積に置き換わった分の油面を少し(2mm)だけ下げたほうが、 ベターです。

 

が、私はイニシャル調整機能がありますので、元に戻せると言うメリットを採り、パイプ切断は行いません。

ベアリングの増加した体積の分だけ、油面は下げました。

(油面を下げることが、フォークのセッティング上は変更しないことと同じになります。)

 

 

取付後の感想 

効果ですが、組立てる時に直ぐにベアリングの効果を感じるはずです。

フォークキャップを締めこんでいく時、スルスルと今までよりスムーズに回せるようになります。

基本的には、フォークキャップを締め付ける時は、キャップを抑えつけたら、インナーチューブを回して締め付けていきます。

ですが、敢えて途中からフォークキャップ側を回す試みをしてみました。

フォークキャップを回すと、今まではテンションが掛かり捻れ、ワッシャー部で時折滑る感触がありましたが、スムーズに回せるようになりました。

 

そしてフォーク単体の組み立て終わり時に、手で押してみると違いが分かります。

 

取付前には、押した時にスプリングがインナーチューブに当たりながらガチャガチャっと音がし、途中でワッシャー部にて滑るような感触があり、動きが一瞬不均等に沈むような手応えが有りましたが、これが軽減されています。

ベアリングを入れたことでフォークが、スムーズに動くように感じられます。

特に動き出し(ビギニング)が良くなったように感じられます。

 フリクションゼロには出来ませんが、ベアリングによる低減効果を、手押しレベルでも感じられます。

 

ただ、そう感じたいだけなのかもしれません(^_^;)

かなり、贔屓目で見てしまっていますから、これをプラシーボ効果って言うんでしょうね!

思い込みも、時には大切です(笑)

 

しかし、単なる思い込みだけではないように思います。

 

試走した感想ですが、低速~中速域での路面からの細かな振動が減りました。

そのことで、タイヤが路面に吸い付いているような感覚(接地感)が、増しました。

ダンパーをバンディット1200のものにした時には、タイヤの接地感が一気に上がりました。が、交換して暫くすると慣れてしまい、細かな振動が若干気になっていました。

 

今回のスラストベアリング追加によって、フォークの動き出しが良くなったため、振動が減ったことを、走り出して直ぐに感じられました。

 

タイヤの接地感がアップし、楽しくなってしまい、大人げなく、更に走ってしまいました。効果は十分に体感出来ました。

 

この改造はとても安価に、そして簡単にフォークを性能アップさせることが出来ます。

また、その効果を実感することが出来ます。

 

サスペンション調整は、実走しながらリヤサス側とバランス調整しながら、最適化するともっと良くなると思います。

 

今後更に作動性能をアップさせるには、フォークオイルの粘度変更や、スプリング交換も必要になる?と思われます。

 

暫くフォーク改造後のセッティングを楽しめそうです。

 

 

素直に、↓のワッシャー付きのモノを購入しておけば、良かったですね。

 

(追記)

気になる耐久性ですが、スラストベアリングを取り付けてから約2年後に点検してみました。スラストベアリングを取付けてからの走行距離は、1万キロ程度になります。

minow.hatenablog.com

ベアリングはフォークの空気層にセットされていますので、錆びていると思っていましたが、全く異常ありませんでした。

乗り心地も良好維持したままです。オイルに浸かるように下側にセットした方が、より耐久性が良いと思います。

次の全バラしする時に組み替えしたいと思います。