目次
はじめに
フルアジャスタブルで格安なリヤサスペンションがどれ位の性能を有しているのか?
そんな興味から、マキノオートパーツさんが輸入販売されるVOPOのサスペンションを、今回試したいと思います。
前回の記事では購入後の確認から、取付けまでを記事にしました。
ここからはプリロード調整と、試乗しながら減衰力を調整した内容を、詳細に記載していきます。
プリロード調整
取付けた後、スプリングのプリロード調整をしていきます。
調整をしていくのですが、購入したVOPOのサスペンションのバネレートは不明です。
さらにスプリングの全長(自由長)が何mm有って、そこから何mm圧縮されプリロードがかけられているか?プリロードも不明になります。
では、荷重を計測する機器が無いと、バネレートが不明だとダメなのか?
それは、ノーです。
皆さん純正サスペンションのバネレートがどれだけか?どれだけ圧縮されプリロードがかけられているか?ご存知ですか?
それとほぼ同じ状態なだけでしょう。
イヤ、違うよ!
って、返ってきそうですね。
今回、詳細なスペックが不明なままですので、感覚だけでマッチングを試してみたいと思います。
それでも、測れる箇所は出来る限り測っておきます。
特にストローク量を把握しておくことは重要ですからね。
ストローク量を測る時、シャフトの露出している長さを一人では測り難いため、測りやすいスプリング長さやバイクの高さなどに一旦置き換えていきます。
サスペンションに組込まれたスプリングの長さは?
190mm
このスプリングが組み込まれた状態は、すでにスプリングがいくらか縮められています。
スプリングを外せば、全長(自由長)が何mmなのかハッキリしますが、面倒なのでココもスルーします。
ここからプリロード調整として、車体に組み込み乗車したときの沈み込み量(リバウドストローク)を調整していきます。
サスペンションのストローク量になりますが、稼働範囲は?
ダンパーゴム下面までは80mm (正確には81mm)
対してダンパーゴム上面までのストローク量は?
57mm
ゴムダンパーに少しタッチするまでを、有効ストローク量としておきます。
よってストローク量60mmを、このサスペンションの有効ストロークとします。
この有効ストローク量のうち30〜35%くらいをリバウドストロークにするのが目安なんだとか。
具体的な数値として、有効ストローク60mmとした約30%に当たる20mmをリバウドストローク、すなわち一人乗車時の沈み込み量とします。
まずライダーが乗車しない状態にて車体を立て、スプリング長が190mmから20mm縮んだ170mmになるよう、プリロード調整を目指します。
それが
車体を立ててみたらスプリングが縮み、170mmになりました。
と言うことは?
ダブルレートのスプリングのうち、低いレートの方は20N/mm弱あると推定されます。
このレートは、排気量400〜1000cc前後のクラスによく用いられているスプリングですね。
マキノオートパーツさんの商品説明でも、排気量400〜1000cc前後のクラスにマッチしているとの謳い文句になっています。
因みにYSS社だとスプリング番号 46-20-30-200 (20〜30N)が、XJR1300、XJR400あたりには採用されていますので、大きく外れていないって事ですね。これは安心材料です。
ここの数値をおおよそ掴んでおけば、自分が乗車したときの沈み込み量を推測出来ます。
単純計算になりますが、その沈み込みこむ分のテンションを掛けておけば、プリロード調整としては大きく外れた数値ではないと思います。
具体的には、ライダーの体重をフロントサスとリヤサス側が半分づつ受持つとして、体重60kg(600N)なら半分の7.5mmほど、体重80kgなら10mmほどスプリングをさらに縮めるってことか?と。
単純計算ですさ、バネレートの推測もテキトーなのですが、目安にはなると思います。
これで荒々しくも、プリロード調整出来ました。
あとは試乗してみて、ストローク量を確認しながら微調整していきました。
今のところプリロード調整は、自分の体重(60kg)に合うポイントとして、上から6〜7回転させたところに落ち着きました。
車高調整
バイクに跨ってみましたが、足付き性に問題なし。
リヤ側が持た上がった感も垂れ下がった感もなし。
そこで車高調整はせず、穴〜穴までの全長は330mmのままにしました。
減衰力調整
減衰力は、圧縮も伸び側も最弱にした状態で試乗し確認していきます。
この減衰力無しの状態で、いきなりフル加速なんてしてはいけませんよ!
まずは、低速でギャップのある路面や段差を乗り越えたりし、低速側で荒々に減衰力調整しておきます。
次に、中速→高速側と確認調整しながら作業していきます。
伸側減衰力調整
最弱からスタート
当然ながら伸び側及び圧縮側の減衰力が最弱になりますので、スプリングの動きをダイレクトに感じられます。
ただし、最弱と言っても減衰ゼロではなく、いくらか有りますので、ギャップを乗り越えるとボヨンボヨンってなりますが、危険を感じるレベルではありませんでした。
これはちょうど蕎麦を食べる時に、最初の一口目は汁に浸さないで食べ、蕎麦本来の風味を感じるみたいな感覚です(笑)
最強を確認
次に最強側にしてみて、硬さを感じます。
こちらは、蕎麦にワサビだけのせて食べるみたいな?
でもやる意味は少しあります。
最強にしてもボヨンボヨン状態のままだったら、サスペンションの減衰力としてはアウトになりますからね。
今回は、しっかりとした十分な硬さ加減を感じられました。
このことから、最弱〜最強の範囲内にセッティングの最適解がありそうだと言えます。
最弱→最強への変化は劇的な感じはなく、むしろ逆で、調整機能が有効に働いてる?って不安を感じる位の変化しか無いと感じられます。
このことは、少し位セッティングが外れても、不安定な状態になり難いとも言えます。
2万円と格安ながら、伸び側の減衰調整がちゃんと機能してました。
しかも20段階調整も出来るなんて素晴らしい!
最強から5クリックづつ戻し
ここから本気モードでの調整になります。
先程の最弱→最強への体感にて、激的な変化が感じられ無かったことことから、5クリック単位で変更していくことにしました。
具体的には、最強側を基準にして、5クリックづつ振ったセッティングを試してみました。
(最強20) → 15 〜 中間10 〜 5 (最弱0)
大雑把に振ってみて、強めた方が乗りやすいか?弱めた方が良いのかを見極めます。
この時点までで、0、5、10、15、20クリックと5パターンの減衰力調整を試したことになります。
この途中で、硬過ぎずボヨンボヨン感もなく安定感があり、マッチしてそうな箇所がだんだん分かってくると思います。
微調整
低速でおおよその感触を掴み範囲を決めたら、中速域で微調整します。
0~5、5~10、10~15、15~20のどの範囲内にありそうか?ある程度の範囲を決めることが出来れば、あとは数クリックづつ変更しながら確認していくことになります。
分からなくても0〜10、10〜20と半分に絞れていれば、微調整作業の試す数を減らせます。
私のイナズマ1200では、最強から10~15戻し位が良いかな?と思われましたので、そこから微調整をしていき、最強から12〜13戻しくらいが中速域で良いセッティングだと感じられました。
ただしこのセッティングだと低速は硬めになります。
柔らかめが好みなら、最強から15戻しくらいが良いと思います。
反対に80km/hくらいになると少しフワフワして落ち着きが感じられないため、最強から10戻しと強めると安定しました。
これもフロントフォークとのバランスになりますので、参考値程度にしてみて下さい。
圧縮側減衰力調整
伸側を設定するまでは最弱にした状態にしておきます。
伸側の設定が確定したところから圧縮側を調整していきます。
試しに最弱と最強を体感してみました。
こちらも身の危険を感じるくらいの劇的な変化は感じられませんでした。
最強にしても少し強まりゴツゴツと感じられますが、マイルドな範囲でした。
圧縮側は、最後の味付けに使われるスパイス(蕎麦ては薬味)のようなモノと思っています。
スパイスは、足しすぎは良くありませんが、無くても良いくらいなモノです。
が、刺激強めな最強から15クリック戻しにしておきました。
(最弱側からは10クリック付近)
これも、もっと抜いても良いかな?位です。
リヤの動きを妨げるほど強くもなく、状態としてはとても良く、路面の追従性は良好になりました。
走行時のサスペンションの動き(動画)
このサスペンションが、ちゃんとした性能を備えているか?
You Tube動画にして記録しておきました。
走り出し〜停止まで、45秒位の動画になります。
途中に2回ほど、大きく荒れた路面(凸部)にワザと乗り上げましたが、フルボトムまで余裕がありました。
実際の乗り心地も良くて問題なしですね、サスペンションの動きは良いと思います。
撮影した動画ですが、路面とサスペンションを2画面表示させて表現出来ると、もっと分かりやすくて良かったんですが、となると、もう一台カメラが必要になります。
360°カメラなんかも良かったかもしれませんが、高価なので今回は、この程度とします。
う~ん、今インスタ360買うなら、高価なサスペンションを買うべきですかね(^_^;)
後日、撮影した同じ道路にて別アングルから撮りました。
広角レンズであるため、風景(民家)が映り込みすぎたため、編集時に映像を絞りました。
まあ、サスペンションとしては良い感じで動いています。
アクションカメラは、ウインカーに取付けたため、振動が多くて画像が荒れてます。シッカリと振動対策しないといけませんね。
評価
汎用サスペンションになりますが、全ての調整範囲内にイナズマ1200は入っていました。
VOPOのリヤサスペンションは、一般的なサスペンションオーバーホール代の半額で購入出来てしまいます。
とても安価なフルアジャスタブルなサスペンションですが、ちゃんと使えました。
でも、これがどれくらいの走行距離、年数使えるか?
耐久性は不明になりますので、これから試していきます。
これが3〜4年以上使用出来るなら、ヨシとしておきましょう。
走行距離の短い私なら、5〜6年使用出来ればサイコー!と言えますね。
この結果は、こらから検証していく事になります。
オーバーホール金額より購入金額の方が下なので、その都度更新(新品購入)していくことになると思います。
3年で更新していっても10年経過した時点で、高級サスペンションをオーバーホールして使用していくよりも安価だと言えます。
ここで自問自答してみます。
XJR1300純正オーリンズと比べ、どっちが良かった?
答えは即答で、VOPOです。
コストパフォーマンスは断然VOPOが上、乗り心地もXJR1300純正オーリンズと、さほど遜色ありません。
問題なし。
最後のまとめとして、今回のサスペンション交換は成功!
👏👏👏
長年使用し、劣化やオイル漏れしたようなサスペンションを使うのなら、VOPOのサスペンションは選択肢の一つとしてアリです。
コストパフォーマンス面からすると、むしろ最良の選択と思います。
今回、イナズマ1200とのマッチングは、問題ありませんでした。
今まで使用してきたXJR1300純正オーリンズとマッチングしてきたことから、逆にXJR1300やXJR1200にも使えるサスペンションと言えます。
試す価値はアリだと思います。
また一つロングツーリングに向けた準備が進みました。
来年4月以後になりますが、バイクの高速道路半額(ETCにて1回の利用100km以上など条件付き)になると、嬉しいニュースもあります。
それまでに次の整備事項となるタイヤを交換していきます。