目次
はじめに
今回は単管パイプをクレーンビームとしたトロリーを製作し、吊上げ設備の一部を本設置しました。トロリーは前後一方向のみの移動となります。その記録になります。
経緯
バイクの整備をする際に、吊上げる設備が有るだけで、自分で整備出来る幅がグっと広がります。
そんな吊上げる設備ですが、バイク置場の屋根フレームを利用して吊り上げてます。バイクを吊上げる荷重を想定し、単管パイプを使用し製作しましたので、狭いながらバイクを吊り上げる事が出来ます。
先日、フロントフェンダーをカーボン製のモノに交換した際にも、小屋のフレームを使ってフロント側を吊り上げました。
でもその前に、タイダウンベルトで吊り上げてたのでは、安全性の面では話にはなりませんよね。
これまで簡易的に単管パイプを結束バンド等にて仮固定し、作業が終われば片付けてきました。偶にしか使いませんが面倒くさいんですよ。
仮固定した単管パイプにトロリーが有れば、更に使いやすくなるだろう?と、トロリーとともにビーム材も固定さえ、設備化する事にしました。
今回はトロリーの動きは、前後の一方向のみとしました。さらに横方向に移動させる設備化は次の作業とします。
ホイストビーム設置
【取付前】
梁の高さが180cmくらいでしたので、頭に当たらない高さにするため、屋根の下の三角形になった空間側にクレーンビームを取付けることにしました。
【部材購入】
単管パイプの両端固定には、金具が下側にはみ出す直交クランプではなく、ほぼ数mmしか出ないタイプのクランプにしました。(ホームセンターの処分品として1個100円で販売させれてたモノをストックしてありました。)
クレーンビームを横にスライドさせ易いよう、梁材の上にクランプを少し緩めて取付けました。端部で怪我をしないよう単管キャップを嵌めておきました。
【取付後】
すぐに横方向移動させるような設備にする予定なので、クレーンビームの取付けは、今回はこんな具合で良いでしょう。
トロリー製作
クレーンビームを取付けましたが、どのようなトロリーを取付けようか?
まずは単管パイプをビーム材とした市販品を検索してみました。
市販品でイメージに近い商品は、以下のようなモノです。
形や部材選定の参考になりましたね。
ローラー横の部材は板厚3〜4mm、幅30〜35mm程ですかね?
でもこれだと、自分にはフックの位置が下に垂れ下がり過ぎて頭に当たってしまいますので、小屋にあったトロリーを製作することにしました。
ローラー
トロリーの肝心要となるローラーは、単管パイプと同じ位の曲面があれば何とかなりそうです。
ボートローラーとして販売される2インチのローラー部材を、Amazonのみ販売されていた商品を購入しました。送料込み1000円程にて販売されてました。
ボートローラーやボートトレーラーローラーなどとキーワード検索すれば、ヒットするはずです。
このローラーのサイズですが、おおよそ直径51mm、横幅51mm、最も細くなったローラー中心部の直径31mmでした。
写真ではローラー中心部に黒っぽいラインが見えますが、これは完成した後に単管パイプにて実際にテストした際に付いた跡になります。購入直後に写真を撮り忘れたため、仕上げ作業した際に分解しましたので、その際に撮影したためです。決して最初からではありません。
3インチの方が若干安いのですが、幅が少し広くて合わせにくいので、2インチサイズのローラーを購入しました。
部材
ローラー他の強度部材は、錆びないSUS304のステンレス材としました。
まずメイン部材は幅30mm×厚5mmのフラットバーとしました。
これは分割ボート用の艤装品を、安い切り端材を購入して製作しましたが、その時余ったステンレス材を有効活用しました。
部材選定したところで、必要な長さに切出しました。
長さ210mmの丁度良い端材がありましたので、半分の105mmにしました。
今回もステンレス材はハンドノコで切りました。
私の場合、グラインダーや万力を屋外に運搬準備し作業するより、道具置場のある室内で作業したほうが、早くて効率的なんですよね。
これくらいのフラットバーなら、1カットに2分も要しませんからね。準備と片付け等を含めると、グラインダーより断然早いんです。
ただしステンレス用のノコ刃でないと、楽に切れませんよ。
あと切削時の抵抗を減らすには、カッティングオイルかペーストがないと、余計な力が必要になり大変です。これオススメです。
両端から15mmを穴中心とし、8mmドリル穴を開けました。(ボルト穴間は105-30 =75mm)
これで強度部材の形が出来ました。
ここで、仕上がった強度部材の強度計算し、確認しておきます。
余裕をみた吊上げ荷重200kgにて強度計算してみると?
フラットバーは、安全率10倍を余裕で超える十分過ぎる部材でした☺
M8ボルトはネジ部(有効断面積36.6mm2)に荷重が掛かった時、さらに引張許容応力の50%以下の20kg/mm2と低く見積り剪断許容応力を計算してみると?
700kg超の耐荷重があります。さらにローラーの両端部にて荷重が半分に分散するため安全率だと10倍近くあります。バイクのフロントを持ち上げるには、M8ボルトで十分耐えられる強度があると見積れます。
計算結果からするとトロリー全体強度は、ローラーとクレーンビームの強度次第だとわかります。このローラーにどれくらいの強度があるのか?不明ですが、例えローラーが潰れたとしても他の部材が破断しなければ、吊上げたモノは落ちないはず!
ローラー強度が不安で気になるようなら、2輪仕様にするだけですからね。
トロリーが破断する前にクレーンビームが先に曲がるんでしょうね。
仕上げ
ここからトロリーの仕上げ作業になります。
吊上げ側もローラー構造にするため、太さの異なるパイプを長さが数mmずらし2本切出しました。
当初は全てステンレスパイプを使う計画でしたが、外側のパイプを切り出しやすい塩ビパイプとし、内側のパイプは薄肉パイプへ変更しました。
内側のパイプがスペーサーの役割を兼ねています。
どちらのパイプもカットしやすいので、あっと言う間に仕上がりました。
しかしこの塩ビパイプをローラー代わりした仕様は、タイダウンベルトを吊上げ装置と想定したもので、途中で変更しました。
レバーホイスト
タイダウンベルトで荷吊りするなんて、労働安全衛生的に問題ありです!
今回の吊上げ設備の改修に伴い、タイダウンベルトからレバーホイストに変更することにしました。
そのレバーホイストは、軽量コンパクトな象印チェーンブロックの150kgにしました。
めちゃくちゃ軽くてコンパクトです!
7000~8000円程で購入出来て安い!
チェーンブロックなら巻上げ巻下げと方向を反転する際に吊っているモノがズレ落ちることがありませんが、このレバーホイストは吊上げから吊下げ方向へ変える際、ブレーキがかかっているのでズレ落ちることなく安全に作業出来ます。
コンパクトなボディーながら、安全性能が詰まった秀逸な商品ですね。
シャックル
レバーホイストのフックを掛けやすいよう、10mmのシャックルを間に入れることにしました。
ドリルとヤスリを使いM10ネジ部を削り取り、穴径を9.5〜10mmにしました。
全体組立て
ネジ部を削り取ったシャックルをトロリーに通し、全体を組立てました。
ローラー側ネジの余分な長さをカットして完成となりました。
さらにシャックルの中心がズレないように、両端に塩ビパイプを切り出しスペーサーとしました。
シャックルの間には何も無くても良いのですが、余った塩ビパイプをローラー代わりとして入れておきました。
トロリー製作には、意外と多くの手間が掛かりましたが、それだけ良い仕上がりとなりました。
トロリー設置
これを単管パイプに設置して、レバーホイストを取付けてみました。
とても気になる単管パイプとローラー曲面の、マッチングは?
良いんじゃない!
取付けて動かしてみたら、ローラー側面がフラットバーに擦れ、回転を邪魔していましたので、ナイロンワッシャーを両サイドに挟みました。
このナイロンワッシャーは、カーボン製フロントフェンダーを取付けるため購入しました。
レバーホイストを取付け、人間がぶら下がりながら動かしてみると?
トロリーはこれで完成ですね。
レバーホイストも良いんじゃない!
フリークの太さ25mm長さ60cmのベルトスリングを2本をハンドルに掛け、吊り上げようと思います。
最後に
今回トロリーを製作し作業性アップしたので思う事ですが、もっと早く取付けるべき整備だったな〜と後悔の念があります。が、ちゃんとした設備化が出来ましたので、ともに達成感が満ち溢れてます〜🙌🙌
次は単管パイプのビーム材が移動するよう、設備改良することにしました。
もう少し作業場所が広ければ、下のジブクレーンアームのように動くタイプにしかったのですが、比べると随分と多くの手間のかかる作業となりました。値段も7000円程で購入出来て、設置するだけですからね。