目次
はじめに
前ブレーキのパッドとフルードのみ交換する予定でしたが、ピストンの動きが渋かったため、オーバーホールすることにしました。
今回のオーバーホールでは、ピストンシールゴムとダストシールゴムも交換し、さらにキャリパーブリッジ部の合わせ面にあるOリングも交換することにしました。
何年か経過するとシールゴムの劣化とシールゴム裏面のフルード固着が考えられます。
ピストンの見える範囲だけクリーニングしてもどうにもならないので、全分解することにしました。
全分解する作業へ切り替えたため、必要な部品の調達までには、多少の時間が掛ります。
そこで部品調達待ちとなった土曜、天気が良かったことから、近場へツーリングしてきました。
有間ダム
名栗川沿いの桜
やはり、バイクは乗って楽しむものですね。整備するためのものではありません😁
消耗部品類の交換整備も苦なく楽しめたら、より良いことですね。改めてそう思えました。
部品調達
ブレーキのオーバーホールに必要となる部品(ピストンゴム、ダストシールゴム)について、生産中止から20年以上経過しますが、まだ部品供給がなされておりました。
部品調達のために、店舗まで行くのは時間的ロスが大きいことから、今回もネット注文にて純正部品の購入を行いました。
個人レベルでも簡単に注文出来て、数日で手元に届きますので、大変便利ですね。
他、Yahooショッピング、モノタロウなどにて購入出来ます。
SUZUKI:59100-03830
純正部品シールセット、ピストン(34)
SUZUKI:59100-03850
純正部品シールセット、ピストン(30)
これらのピストンシールゴムは簡単に取寄せられます。が、ブレンボのブリッジ部合わせ面に装着されるOリングはバイクメーカーからの正規ルートでは部品調達出来ません。
そこで、ヤフオクから出品されるブレンボ用Oリング(5個入り400円(送料別途))を fx1132さんより購入しました。
このOリングのゴム材質は、エチレンプロピレンゴム(EPDM)とのことで、スチレンブタジエンゴム(SBR)よりもブレーキフルードの使用環境では耐性(熱など)に優れたゴムといえます。
1週間のうち月曜発送のみとの事でしたので、購入日によっては納期は1週間以上となります。しかし、ブレーキの合わせ面のOリング交換なんて、なかなか衝動的には行なわないと思います。命に関わる保安部品ですので、交換は計画的に準備して交換しましょう。
↓のリンク先で購入できますが、私の購入したヤフオク品ではありません。リンク先がないため、別の購入先リンクとなります。悪しからず。
今まで購入出来なかったパーツを購入出来るようになり、大変助かります。
交換作業
ブレーキオーバーホール作業を始めます。
キャリパーブリッジボルトを先に緩めても良いのですが、ブレーキフルードを抜き取ることから始めました。
マスターシリンダーのリザーバータンクのフルードは、オイラーをスポイト代わりに使って吸い取りました。
リザーバータンクのフルードを抜き取ったら、ブレーキホースの残液を抜き取ります。
シリンジとホースを使い、吸い取ります。と言ってもこれでも完全には抜き取れません。
抜き取ったとしても、構造上キャリパー内部のピストン裏側には、どうしてもフルードが残ってしまいます。
ここでキャリパーブリッジボルトを先に緩めておきました。手で簡単に外せる程度までとし、ボルトは外してはいません。全て外してしまうと、ブレーキフルードが漏れ出てきます。
次、ブレーキホースを外しておきました。
塗装を痛めてしまうブレーキフルードがあちこち付着しないよう、ジッパー付きの袋に入れておきました。
すかさずキャリパーのホースとの接続口へウエスなどを押し当てて拭き取り、フルードを少し吸い取りました。
キャリパーマウントボルトを外し、キャリパーを外します。
この時、ブレーキホース接続口に指を当てて、フルードが漏れ出てこないようにしながら、キャリパーを外すと、フルードまみれにはなりません。
それでも多少は漏れますので、溢れた液はキチンと拭き取りましょう。
外したキャリパーですが、ブレーキパッドも付いた状態で外しました。
この状態からパッドピンを抜き、ブレーキパッドを外しました。
これでキャリパーのみとなり、ようやく分解となります。
キャリパーブリッジボルトを先に緩めておきましたので、手で簡単に外せます。ボルトを外したらしたら、キャリパーを分割出来ます。
この状態まで分解すると、キャリパーピストンツールによるピストン抜取りがしやすくなりますね。
ピストンを外したら、ゴムシールとダストシールを抜き取ります。溝に割とシッカリ入った状態なので、細めのマイナスドライヤーを使い外しました。
このシールゴムが入る溝でブレーキフルードが固着しコブとなり、ゴムシールの動きを邪魔してしまうことがあります。
今回はそこまで酷い状態ではありませんでしたが、小さなコブが数カ所出来ていました。
10年前に交換した時(新車時から10年使用)は、コブ固着が酷かったことから、ゴム交換してから8年経過した2年前、一度様子見として分解しクリーニングしました。その時はコブが多々見られました。
その事から、フルードが固まり出来るコブを取り除く意味でも、最低でも5〜6年周期でゴムシール部のクリーニング(オーバーホール)した方が良さそうです。
ここで作業に戻ります。
キャリパー部品は全て水洗いし、シッカリと乾燥させておきました。
よく乾燥させたところで、シールゴムを組込み、ピストンを嵌め入れました。
センター合わせ面のOリングを忘れず入れ、キャリパーブリッジボルトを軽く締め込んでおきました。
ピストンシールゴムやダストシールゴムを組み込む際、フルードに浸してから組立てるよりも、ラバーグリスを使ったほうが、ゴムの固着がしにくくなると考えています。
フルードに浸して付着した量は少量かもしれませんが、いずれ乾燥しますし、吸湿したりアルミ素材を侵食しやすくなるだけ?と・・・。
ここに使用する潤滑剤は、ラバーグリスであるべきでしょう。
締付けトルク管理は、フロントフォークに固定してから、キャリパーマウントボルト及びブレーキホース接続ボルトと一緒に行うこととしました。
因みにブリッジボルトの最終的な締付けトルクは25N·mとしました。
キャリパーを合わせ組立てる前に、合わせ面のOリングについて、新旧見比べてみました。
写真右側のピカピカ光った方が新品、左側のくすんだ方が旧品になります。
キャリパーにはめ込んで比較しましたが、寸法的には全く問題なし!
ゴムの耐性については、これから数年使用してみないと分かりません。が、一日だけですがフルードにOリングを浸け置きする膨潤テストをしてみましたところから、大丈夫そうだと思われます。
キャリパーブリッジボルトにてキャリパー組立てたら
ブレーキパッドを抑えのプレートとパッドピンにて固定し、パッドピンの抜け防止用R(β)ピンを挿し込みました。
それをフロントフォークにキャリパーマウントボルトにより固定します。
キャリパーマウントボルトの締付けトルクは、サービスマニュアル通りとすると39N·mになります。その値にて組み付けました。
キャリパーをフロントフォークに取付けた後、ブレーキホースと接続させます。
この時、ブレーキホースとの接続には、ガスケットが必要となります。
メタルガスケットは潰してシールするため、一度使用したモノは、再使用不可となります。
1箇所当り2枚必要となるため、左右のオーバーホールであると、最低4枚必要となります。
ガスケットは、アルミや銅などで腐ったり劣化しない素材が用いられています。多少多めに購入しても、後にリヤブレーキやクラッチ周りのオーバーホールなど行う際にも必要となります。まだストック有りましたが、買い足しておきました。
このブレーキホースとの接続するユニオンボルトの締付けトルクは、サービスマニュアル通りの数値だと23N·mになります。
ここのボルトは締付け過ぎると、ネジ部を破損させてしまいます。またその逆に締付けトルクが足りないとブレーキフルード漏れしブレーキが効かなくなることに繋がります。とても重要なボルトになりますため、慎重に作業しなければなりません。
これでキャリパーとブレーキホースが接続されましたので、次はブレーキフルードを充填させます。フルード充填作業は、内部の空気をエアーブリーダーやリザーバータンクから追い出し、フルードに置換する作業になります。
そのエアーブリーダーについて、使用してきた純正エアーブリーダーはまだ使えましたが、錆びていましたので更新することにしました。
ネジサイズはM8
ピッチは1.25mmになります。
チタンボルトに変更したかったのですが、到着まで多少時間かかることから、バイク用品店で購入出来るデイトナのステンレス材のエアブリーダーにて更新することにしました。
デイトナ製品は寸法や造りがシッカリしていますからね。安心です。
比べると少し形状が異なりました。実際にキャリパーに組み付け比較しましたが、問題なしでした。
ゴムキャップもちゃんと使用出来ました。
エアー抜き作業では、送り込んだ分だけリザーバータンクにブレーキフルードを何度も補充することになります。そこでオイラーにブレーキフルードを移替えておくと、作業がしやすくなります。
あと空気を抜くとき、最初はシリンジとホースを使い内部を負圧にしてあげると、フルードが内部へ入っていきやすくなります。
100円ショップでも購入できる道具になりますが、このシリンジとホースは何かと役立ちますね。
専用品があると更に楽に作業出来ますが、2年に1回位の使用頻度なので、無くても良いかな?
ブレーキフルードがキャリパー内部にある程度満たされたら、左右反対側も同じように行いました。
ブレーキラインを少し揺らしながらエアーをリザーバータンク側の上から抜いていくと、フルードが重力で下に落ちていき、キャリパー内部を満たし、ライン中のエアーが抜けていきます。
これを繰り返し作業し、エアーがでなくなり、レバーを握る際の手応えをシッカリ感じるようになり、エアー抜き完了としました。
リザーバータンクにフルードを満タンラインまで入れたら、キャップを取り付け締付けます。
これで作業完了ではありません。
ブレーキフルードを拭き取ったら、暫くは放置し漏れが無いか?確認が必要です。
この確認はとても重要ですね。
次のゴム交換予定
今回はフロントブレーキのメンテナンスとして、ピストンシール、ダストシールゴムを交換しました。
リヤブレーキとクラッチレリーズも、10年程前にに交換しましたので、これらもそろそろ交換時期に差し掛かってきたと考えています。
次の整備(ゴム交換)は、この2箇所を予定しています。
終わりなきメンテナンス作業が、こらからも続きます。