目次
はじめに
走る時、曲がる時、止まる時の全てのシーンにおいて、車体の約半分の荷重は、ステム周りに集中します。
その中でもステムベアリングは、高荷重が掛かる状態でも、スムーズに回転しなければなりません。力学的に、とても過酷な箇所になります。
そんなステムベアリングですが、とてもメンテナンスし難い箇所でもあります。
そんな重要な箇所と知っていても、面倒臭がりやの私は、ステムナットを緩めて僅かな隙間を作り、そこの隙間からベアリングに向け、スプレーグリスによって吹きかけてきました。
外すのは面倒なんだけど、グリスアップだけはしたい!って方に有効な方法です。(^_^;)
コレ、あくまでも給脂が目的であり、点検はステムのガタツキとスムーズな回転のチェックにより、異常ないことを確認した上での話になります。
ステムベアリングの引っ掛かりなどは感じられませんでしたので、一度もキチンと点検したことはありませんでした。
今回は点検目的として分解し、脱脂洗浄・グリスアップすることにします。
前作業
次の前作業は本当に必要?と問われれば、必要ありません。
が、次のフロントアップの方法ですと、力を加えた時に、センタースタンドが滑ってリヤ側に荷重が逃げて、最悪は転倒するのを防ぐことを予防するものになります。
転ばぬ先の杖、程度の作業になります。
最初にステムのキャップナット(レンチのサイズは30ミリ)を、分解する前に少し緩めておきます。
更に、ステアリングステムナットも、少しだけ緩めておきます。
ほかに、フロントのアクスルシャフト周りを緩めておきます。
前準備が終わったら、分解作業に移ります。
分解作業
フロント側を浮かせるために、センタースタンドを掛けたら、リヤを地面に引っ張り固定させます。さらにエンジン下あたりにウマを入れて2重の対策をしておきます。
フロント側のブレーキキャリパー、フロントタイヤ、フェンダー等を外します。
この後、フロントフォーク外します。
ステアリングステムに固定されるスピードメーターケーブルのブラケット(細い棒を曲げたもの)も外します。
いよいよ、ステアリングステム周りの分解になります。
まずは、キャップナットを外します。
ガソリンタンクを外した方が、作業が楽です。ここでも、面倒なので、そのままにしました。
ハンドルを外すことなく、緩めることができます。面倒臭がり屋の自分には、ピッタリな工具になります。
この絶妙な曲がり具合が、丁度ハンドルポストを避けつつ、ナットに届きます。
次に、ステアリングステムナットを緩めていきます。
途中からは、手で回していきます。
ここで使用した引掛スパナは、ネツレン社の45-52mmサイズになります。
これなら、最後の締め付け調整もしやすい!
ステムナットを外していきますと、最後はステムステアリングが下に落ちます。
手は2本しかありませんので、何も対策しないと、面倒臭くて外さなかったハンドル周りが滑り落ちてきます。
その対策として、ステアリングステムの中空部に長めのドライバーを突っ込んでおきます。
突っ込んでおく長さが短いと、外れてハンドルが横に落ちますから、必ず長めのものが必要です。
落ちたらタンクにも被害が出ます。
これで、ステムステアリングが外れ、下側から抜いても、ハンドルがズレ落ちてくることはありません。
上部のステムベアリングは、ハンドルを片手で持ち上げて、ベアリングを取り除いたら、また、ドライバーと一緒に差し込んでおきます。
これで、無事に分解し、ベアリングを取り出すことが出来ました。
ベアリング点検
ロアステムベアリングの状態です。
グリスは、茶色になっておりましたが、スプレーグリスも少しは行き渡っており、効果はあったようです。
ベアリングレースは、こんな感じでした。
段差磨耗や、醜い錆びは無く、まずまずの状態でしょう。
これは、スプレーグリスの効果があったことにしておきましょう。
アッパーステムベアリングの状態は?
こちらも、問題なさそうですね。
ベアリングは、超音波洗浄にてクリーニングします。
入れ歯以外の、こんなパーツ洗浄にも色々使えます。
グリスアップと組立
グリスは、コテコテの大盛にして組み上げます。
ここも、信頼性の高いゾイルのグリスを、隙間に押し込むようにして、塗り付けます。
滅多にメンテナンスしませんからね。
コレでもかって位に、山盛りにしておきましょう。
組立は、分解と逆の手順になります。
アッパーベアリングとステアリングステムナットをステアリングステムヘッドの下にセットします。また、ドライバーにて差し込んでおきます。
下からステアリングステムの中空部を、ドライバーが入るように差しこんだら、下からステアリングステムを押し上げながら、ステアリングステムヘッドまで差し込みます。
差し込み終わったら、キャップナットを急ぎ回し留めます。
ここが、もっとも体力と集中力を要する作業です(^_^;)
あとは、ステアリングステムナットを手で回せるところまで締め付けていき、引掛スパナにて締込み、ガタツキ無くもスムーズに回る、丁度良い締め込み量を探ります。
キャップナットを、仮に締め付けておきます。
フロントタイヤの組み付けまで終了したら、本締めして作業完了です。
後日走ってみて、再度締め込みを調整し、本当の作業完了となります。
その時にも先のスパナ類があると、調整作業が楽チンです。
最後に
ハンドル周りのパーツ等は、出来るだけ外して作業すれば、もっと楽チンです。但し、分解した分だけ復旧作業量も多くなります。
私のこんな近道作業は、高リスク要素が多めです。一つ間違うと大事になります。
今回は、何事もなく作業完了に至りましたが、たまたま良かっただけで、危険な作業だったと思います。
危険な近道作業したと、自覚症状はあります。
- ガソリンタンクは外すこと。
- ハンドル周りのパーツはできる限り外すこと、もしくは、上に吊り上げること。
が、反省点です(^_^;)
ステアリングステムベアリングへのグリスアップしたことと、締込み調整したことによる効果は、体感出来ました。
今までもスムーズに、ハンドルは回転していましたが、更に一段上のスムーズさになった感じがします。
これでまた、走ったときの楽しさが増えました。
曲がる度に、ハンドル軽っ!
て、体感しています。
ボールからテーパーローラーベアリングに変更し、剛性感アップさせるのが、ステム周りの次の改造となりそうです。
ただし、何年後になるか、分かりませんけどね(^_^;)
このメンテナンス時は、フロント側を持ち上げておく必要があります。
門型のスタンドがあると作業性がアップします。